感性価値としてのCMFデザインと貼り箱(パッケージ)の関係

公開日:2016年11月23日(水)セミナー・勉強会

CMFデザインは、サーフェイス(表面)からコンセプトを語らせる。

先日、大阪府デザイン・オープン・カレッジ・2016のモノのサーフェイスが伝えるメッセージ「CMFデザインによるイメージ共有と価値観の向上」という二日間の講座に参加して来ました。

CMFとはモノのサーフェイス(表面)を構成する3つの要素、COLOR(色)、MATERIAL(素材)、FINISH(仕上げ)を差し、CMFを的確に使えば、機能性やスタイル、美しさやグレード感など、商品コンセプトをそのモノ自身に語らせることができます。

感性価値としてのCMFデザインと貼り箱(パッケージ)の関係

講師は、株式会社FEEL GOOD creation 代表取締役の玉井美由紀氏(クリエイティブディレクター/デザイナー)。
二日間で講義と演習を通して、CMFデザインと「感性価値」の関係性について学び、CMFの可視化手法やイメージの共有化を体験しました。

我々製造業では、中々そういう具体的な表現の“言葉”がなく、「貼り箱は素材感が大切です〜…。」みたいな話をお客様にいつもしていました。

しかし、この“CMFデザイン”は「COLOR(色)、MATERIAL(素材)、FINISH(仕上げ)」を通して、機能性やスタイル、美しさやグレード感などの商品コンセプトを、そのモノ自身に語らせることができます。

まさに私たちが考える“ブランド価値を伝え、高めることができるパッケージ「貼り箱」”の概念を体系化した言葉です。この時、玉井美由紀氏のお話を伺って、共感というか感動すら覚えました。

感性価値としてのCMFデザインと貼り箱(パッケージ)の関係

CMFデザインは元々欧州で生まれた概念で、1990年代だとか。生まれてまだ、20数年の歴史です。
ただ欧州では、BMWやメルセデスなどの自動車メーカーや家電などの世界ではとても重要視されていて、メーカーはちゃんと予算を投じて表面デザインをしているそうで、それに比べて特に日本は非常に表層的にしか捉えておらず、とにかくお金をかけないそうです。

日本メーカーにとっては頭ではわかっていても、現実には「コスト換算」して(そろばん弾いて)、お金はかけないようです。

ところが中国や韓国(特に中国)は日本よりちゃんと理解していて、「わからないので教えてください。」という姿勢だそうです。
日本はその内、置いてけぼりになるかもしれないです。

日本は過去の成功体験や変なプライド?からか、大企業でもまだ認識は薄く、中小企業ではほぼ皆無らしいです。
自動車では国内最高ブランドのレクサスが国内ではまだお金をかけているそうですが、BMWなど欧州車に比べるとまだまだレベルが低く、とにかく顧客に対してのアプローチが別次元のクオリティらしいです!!

日本ではまだまだCMFデザインという概念がないのですが、間違いなくコレからは大事なことだと思います。
プロダクトに置いて表面の「素材」は、とっても重要ですからね〜。

感性価値としてのCMFデザインと貼り箱(パッケージ)の関係

私たちが創るパッケージ「貼り箱」は、決して華やかなものではなく、めざすのは「洗練された普通」。
シンプルで調和のとれたデザインは、凛とした美しさを持っています。
決して目新しさや派手さはありませんが、10年、20年経っても古さを感じさせない美しさ。
化粧箱としての貼り箱(パッケージ)にとって、CMFデザインの考え方をちゃんと表現していきたいですね。

※ CMFは、株式会社FEEL GOOD CREATIONの登録商標です。

CMFを専門にデザインする日本でただひとりのクリエイター玉井美由紀氏より、「パッケージはHPにあるように、包装資材と言うよりはブランディングツールですよね! CMFの考え方は、今後お役に立つと思います。」とお言葉をいただき、「CMF」という言葉もパッケージ(貼り箱)で使っていただいて結構ですとご了解をいただきました。

感性価値としてのCMFデザインと貼り箱(パッケージ)の関係

貼り箱は、トムソン箱(量産品の組み箱)の印刷によるビジュアル表現と違い中芯であるボール紙(厚さ1〜2mm)に、素材(主に紙)を接着材(ニカワ)を使って貼ってつくるやり方です。

我々が使う特殊紙「ファンシーペーパー(豊富な色や風合いの紙)」の色は、製紙メーカーでの紙漉きの段階で原料であるパルプを染めているため、表面だけでなく中まで同じ色に染まっています。
つまりビジュアルのデザインというより、素材(芯材のボール紙やそれを包む紙)そのものの重さ、堅さ、風合い(質感)や色を通して見た目のみならず、パッケージに触れたときのひとの感覚を大切にしています。

しっかりした芯材に、例えばコットンのような柔らかい紙を貼るなら、さわった(箱を持った)ときの適度な重量感、そして「やさしさ」や「ぬくもり」を直接「ゆび」で感じることができるのです。

ブランドコンセプトを、きちっと伝えられるデザイン。
それは、貼り箱のサーフェイス(表面)を構成する「COLOR(色)、MATERIAL(素材)、FINISH(仕上げ)」の3つの要素によって美しく、どことなく色気、艶っぽさを感じさせることで商品イメージを感覚的に伝えます。

そしてその素材感が“感性価値”として、やさしさ、あたたかさ、上質感など貼り箱を手にした方にとって感動すら覚え、商品イメージを“感性”に訴えかけるのです。

2016年12月14日に、紙関連3社による「協業プレゼン特集 〜第1回「紙」の巻〜」にて、「ブランド価値を伝えるパッケージ(貼り箱)」というテーマで、プレゼンテーションをさせていただいたときの映像です。

導入部分で「iPhone貼り箱」のブランディングの話をしてから、ひとつの事例(あるメーカーさんのリブランディング案件で、カタログやWEBサイトなどを含めて、パッケージを変えたことで、売り上げが約二割、数億円アップした事例)に絞ってお話させていただきました。

話の中で、感性価値としてのCMFデザインと貼り箱の関係についても少し触れました。
まさに、ビジュアルというより紙などの素材感と色、そのコントラスト、そして人に手による仕上げの美しさで表現される、貼り箱(はりばこ)をご覧ください。



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感性価値としてのCMFデザインと貼り箱の関係、ブランド価値を伝えるパッケージ
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