コピー1本あれば差異化できる。ステイトメントがブランドをつくる
公開日:2019年12月09日(月)|ブランディング
村上紙器工業所のステイトメント(企業理念)「意思を運ぶ箱。」を書いていただいた田中有史氏(田中有史オフィス)が、この度つくっていただいたときの思いや経緯を書いてくださいましたので、ご紹介させていただきます。
村上紙器工業所のコピーを書きました。
村上さんとの出会いは、ことしの3月にメビックでやった「クリエイティブディレクション講座」ではなかったかなあ。とにかく熱心な方で、交流会のときに社業をお聞きすると「貼り箱」を作っていると言う。
そこでHPを見てみると、とにかく「ブランド」に関するエッセイというかブログというのかを、大変たくさん書きなぐっていて(失礼!)、言葉の洪水状態で言いたいことの核が見えないのが気になった。
いろんなセミナーで勉強されている方だと分かったが、情報過多ではないかと思った。ハードウエアの会社なのに、同業他社との差異化をソフトでやろうとしているところが面白かった。
アートディレクター(AD)の浪本さん(株式会社ランデザイン)が同社のアートディレクションをされていると聞き、お願いして工場見学に同行させていただいた。
思っていた以上に「手」が介在している小さな現場に触発されて、その夜、熱が冷めないうちにキャッチフレーズを何本か書いた。
そしてランボーにも無垢なコピーを、村上さんと浪本さんにメールしたのである。
すると、お二人ともが反応してくださって、正式な依頼が来てその上恐縮至極にもギャラまで提示していただいた。
押し売りするつもりはなく、考え方ははっきりしているので、あまりにもメッセージの洪水になっている状態を統合できる1本のキャッチフレーズがあれば、もっと差異化できるのにと、純粋に思っただけだった。
その後、お二人にヒアリングして第2稿を書いた。見たことと聞いたことがフュージョンして、こんなコピーになった。
写真やイラストにお金をかけられない小さな会社でも、コピー1本あれば差異化できる。
そして錆びないコピー、個性を標榜できるコピーなら、それを使い続けるとブランディングできていく。もちろん、クリエイティブディレクションとアートディレクションが不在では機能しないのだが。
もしも、自社の差異化に悩んでいる経営者がいれば、良い見本となるのではないだろうか。
いま、小さな企業や個人の想いも、コピーで応援できるのではないかと思っている。
今日、村上さんがfacebookにこの仕事をアップしてくれたので、その背景とワシの思いをここに記します。
村上さん、浪本さん、感謝多々!
田中有史(たなかゆうじ)
クリエイティブディレクター/コピーライター
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