ブランド価値を伝える、少量生産という生き方(パッケージ編)

公開日:2020年06月07日(日)ブランディング

規模の大きさが有利な時代ではない

トヨタの従業員数は約7万8,000人(単独、連結では約36万人)、フェラーリは約4,300人です。

しかもフェラーリはF1レーシング部門で約1,000人が働いているので、市販車製造に関わるマラネッロの本社工場で働くのは約3,000名ほどしかいません。

フェラーリに学ぶ「少量生産メーカー」の生き方
https://toyokeizai.net/articles/-/347530

従来ピニンファリーナなどの外部に発注していた業務を少しずつ内製化していき現在はかなりの部分、開発から製造まで自社で行っています。

特に心臓部のV8、V12エンジンは熟練工の技による手作業で作られ、その他にも最先端のロボット技術を駆使しながら車全体の組み立ては、トヨタなど量産メーカーでは考えられないくらいの時間と手間をかけて作られています。

フェラーリ、2年連続で世界最強のブランドに輝く。
https://genroq.jp/2020/01/23/62199/

何より世界でも屈指のマーケティングやブランディングを行いながら、フェラーリの持つ意味や価値を生み出しています(フェラーリは、2年連続で世界で最も強力なブランドに選ばれました)。

生産/販売台数はトヨタの圧勝ですが、すごいのは「一台あたりの利益」がトヨタの21万円に対して、フェラーリは1,060万円(トヨタの約50倍)あることです(2018年)。

商品パッケージ、貼り箱によるブランド価値の差異化
https://www.hakoya.biz/blog/branding/item_1130.html

ブランド価値を伝える、少量生産という生き方(パッケージ編)
環境に配慮した高級美容液の化粧箱/パッケージデザイン

貼り箱業界における少量生産

貼り箱業界には、いわゆる大企業はありません。
弊社も含めて零細企業が殆どで、全体の一部が量産をメインとした中小企業です。

量産型の貼り箱メーカーは、生産ロットが数千個〜数万個、もしくは数十万個です。
自動車メーカと同じく製造業としては「数の拡大」を目指すのが普通ですが、コロナ禍の今、そして今後を考えると市場は減少が予想されます。

弊社は元々極小規模ですし、今後も規模拡大をするつもりはありません。
よほど特殊な事例をのぞき、大量生産品は価格競争になりますし、そうなれば資本力のあるそれなりの規模の企業でないと太刀打ちが出来ません。

それは、弊社が参入する市場ではありません。
小規模は、小規模なりの戦い方をしないといけないですね。

ブランド価値を伝える、少量生産という生き方(パッケージ編)
特別な贈り物「桃のギフト」パッケージ/化粧箱

村上紙器工業所がつくる貼り箱は万人受けしない?

貼り箱の量産品は、和洋菓子を代表例として一般的によく使われるものです。
まさに、万人受けする商品の箱。

それには「意味があるもの」というより「役に立つもの」が求められます。
クライアントは大手メーカーなどで、一番求められるのは価格や品質の均一性や納期などつまりはスペック重視です。

厳しい対応を求められる割に、価格的にはとても厳しい。
つまり上手くすると大きな売上げがありますが、単価あたりの利益は小さいです。
トヨタ的な感じですね。

ブランド価値を伝える、少量生産という生き方(パッケージ編)
USBメモリケース/パッケージ/化粧箱

弊社では自動設備もないので、生産ロット数は多くても1,000個とか2,000個くらい(納期があればもう少し作れます)。
普段は1,000個以下が殆どで、少なければ数十個という数でも受注します。

その代わり万人受けする商品の箱というよりは、かなりこだわった商品でありクライアント様から、「商品の顔」としてブランドの世界観をあらわすパッケージを作らせていただいています。

あまりにも違い過ぎるので比べるのはすごくおこがましいですが、自動車でいえばトヨタではなくフェラーリを作っている感じ。
もちろん、比べものにならないほど小さな利益です。笑

意味という価値

ブランド価値を伝えるための少量生産ですが、お客様のご要望に出来る限り応えられるような「意味がある貼り箱」をつくっています。

世の中には「意味がある商品」という需要は、実は潜在的に(全体として絶対量は多くありませんが)存在します。

そういうこだわりを持ったお客様のために、私たちは存在しているのです。

パッケージは商品の顔
経営戦略としてパッケージデザインを考える意味

組み箱や一般的な貼り箱に比べると、安くはありませんが単なる包装資材ではなく、商品パッケージはマーケティングやブランディングのための投資です。
商品や企業とお客様の接点(コンタクトポイント)であり、ブランドの世界観をあらわすものです。
消耗品ではなく、長い目でみてブランド資産としての投資だと考えていただくと、新しいパッケージの意味となります。
ぜひ、パッケージデザインを経営戦略の一つと考えてみてください。

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