パッケージ/化粧箱を通してお客様に何を届けるか。その本質とは?
公開日:2020年08月02日(日)|ブランディング
モノづくりからコトづくり
そして、意味づくりへ
村上紙器工業所は、貼り箱というパッケージ/化粧箱を企画・製造する会社です。
ハコという、「モノ」をつくる製造業です。
しかしその本質はモノ(箱)というよりも、目に見えないコト(価値)を提供しています。
これは我々のいる紙器(紙製の箱)業界とは、まったく異なるアプローチです。
一般に製造業とは、カタチのある「モノ」をつくる会社です。
もちろん、私たちもカタチのある貼り箱をつくっています。
そういう意味では、製造業です。
でも、世間一般でいう箱屋(箱をつくる会社)とはちょっと違います。
かなり、微妙なニュアンスですね。
最終的には当然「貼り箱」をつくって、お客様に納品します。
しかし私の感覚では、貼り箱の先にある「顧客価値」を提供しているという思いです。
機能的価値と感情的価値
箱(パッケージ/化粧箱)の機能的価値は、「商品を包む・保護する」です。
そしてもう一つの感情(情緒)的価値は、お客様のブランド(その企業/商品の持つ意味やストーリー)の「〜らしさ」を、箱を通してどう表現するかです。
このあたりは、一般的な箱屋の感覚とはかなり違います。
それが良いか悪いかではなく、弊社「独自」の価値提供です。
これは、モノづくりとしての製造業の感覚とは少し違います。
基本的に、製造業の提供価値とはスペック(機能的価値)です。
主に性能・仕様や納期・価格など、スペックが中心になります。
私たちの提供価値は機能的価値もありますが、実はお客様も気がついていないかもしれない目には見えない価値であり、ブランディングのための化粧箱/パッケージです。
ブランディングとは「ブランドをカタチづくる」ための活動ですが、ブランド(Brand)とはシャネルやグッチといった世間で知名度のある高級ブランドという意味ではありません。
例え中小や零細企業であっても、その企業・商品が持つ意味やストーリー(物語)があれば、それは全て「ブランド」になります。
もちろん世界的な高級ブランドは、ブランド構築のために膨大な時間と手間と予算を投じています。
同じレベルのことは、中小や零細企業には到底出来ません。
中小や零細にとっては、自社が可能な範囲でブランディングをすればいいのです。
その一つが、商品のパッケージ/化粧箱です。
同じ商品でもパッケージを変えるだけで、商品価値が変化します。
良くもなれば、悪くもなります。
不思議ですよね。
世間では、そんな事例は少なくありません。
例えば、2014年に発売された明治の「ザ・チョコレート」。
カカオにこだわった品質もさることながら、一般的な板チョコレートの約2倍の価格にも関わらず、2016年のパッケージデザイン変更から爆発的なヒットを記録しました。
また弊社の事例でいうとある商品で、今までのパッケージから弊社の貼り箱に変えて売り上げが数億円アップしたものもあります。
パッケージで、ブランド価値は変わる
それらは単に、パッケージのスペックが変わったということではありません。
パッケージによって、そのブランドの価値/意味が変わったのです。
パッケージ/化粧箱は商品を包む外装の「意匠」ですが、実はその外見は「一番外側にある中身」であり、中身(商品)と一体化しています。
そう考えると、化粧箱は単なる包装資材としての「コスト」ではありません。
ブランド構築への投資であり、長い目でみて「ブランド資産」となります。
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貼り箱ディレクターである村上誠(村上紙器工業所 代表)と親交のあるクリエイティブに関わる方が、パッケージやデザインに関するアイデア、視点、果てはお互いの考え方や生き方について語らいます。