銅版画工房を見学
公開日:2009年12月20日(日)|家族・友人
扇町マテリアル会議の有志6名で、西宮にある銅版画工房へ、見学に行って来ました。
10月に行った「貼箱製作ワークショップ」に参加していただいた銅版画家の大坪麻衣子さんのご紹介で、彼女の作品制作拠点である「アトリエ凹凸」(主宰:神野立生氏)さんにお邪魔しました。
「銅版画」・・・言葉は知っていますが、大坪さんに出会ってから初めて本物を見たような気がします。
小学生の時に「木版画」は作ったことがありますが、「銅版画」とは単純にいうと「木版」の代わりに「銅版」を使った版画のことです。
しかし、単に「版が違う」というものではないらしく、実際に作られている現場を見てみたくなり、今回クリエイター仲間と工房へお邪魔しました。
その工房は、何と普通のマンションの中にあり、いくつもの部屋を改装した工房になっていました。
部屋の改装は、全て主宰者の神野立生氏がご自分でされたとのこと。殆どプロの大工さんのような仕事に、一同これまたビックリ(笑)。
主宰者の神野立生氏が約36年前に始められ、銅版画の工房としては、全国一の規模だそうです。
大坪さんや、丁度制作をされていた作家の坪山さんから、銅版や刷られた版画などを見せていただきながら作業工程の説明を受けました。
版画のイメージでいうと、「版から、いくらでも同じ版画が出来上がる」と思いがちですが、お話を伺っているとそんな単純なものではないらしいことに気付かされました。
銅版画は、商業印刷のように何百、何千、何万枚と、まったく同じものが出来る訳ではなく、最終の「刷り」の工程では銅版と紙を圧着ローラーに通すため、微妙に銅版が潰れてしまい、多くても50枚くらいが限界のようです。
それも、銅版へのインクのノリ具合や紙へ転写のさせ方など、加減により一枚一枚の表情が微妙に違って来ます。
その時説明をしてくださった坪山さん曰く、銅版画の色や微妙な表情は「偶然に出来た」ものではなく、仕上がりの「気配」を感じながら創っていくのだそうです。
テクニックだけではなく、「気配を感じる」ことの大切さを気付かせていただいた瞬間でした。
ん〜〜〜、「銅版画」深いですね〜。
クリエイターはもちろん、我々「ものづくり」の人間にもとても大事なことです。
そして、主宰の神野氏からも工房の生い立ちや銅版画のこと、また我々にも興味を持っていただき、いろいろとお話をさせていただきました。
異分野の方との交流は、お互いにとても大切だと感じました。
そして最後は、銅版にインクを付けて、実際に紙に転写するところを小さな版を使って見せていただきました。
先程から工程の説明はお聞きしていましたが、版にのせるインクの加減や圧力の掛け方で微妙な色が紙の上に再現され、出来上がった版画を見て一同「おおっ〜〜〜!」と、ちょっとした感動に包まれました。
試験版画してもらったのは、ホントに単純な「版」でしたが、銅版の上にのる微かなインクが、微妙な色に浮き出ていました。
商業印刷のように大量生産出来るものとは、全く次元が違う「アナログ」の世界観がそこにはありました。
短い時間でしたが、作家さんの「銅版画」にかける想いを、ホンの少し見せていただいた気がしました。
貴重な時間を割いてご案内いただいた大坪さんをはじめ、アトリエ凹凸の方々に感謝いたします。
そして今度は、是非「体験」してみたいと、参加した仲間で話していました。
作家の皆さんのこの感性を、是非「ものづくり」にも活かせていきたいです。