貼り箱/パッケージは人の手で丁寧につくる
公開日:2018年12月01日(土)|貼り箱
ウイスキーも貼り箱も、人の手で丁寧につくる価値
米国ケンタッキー州の小さな蒸溜所でつくられる、メーカーズマーク(Maker’s Mark)というバーボン・ウイスキーの銘酒があります。
一般的なバーボンはトウモロコシやライ麦が主原料ですが、メーカーズマークは小麦からつくられます。
昔ながらの製法でそのこだわりは、瓶に貼られたラベルも昔からある活版印刷機を使って刷られています。
そして、一番大きな特徴は赤い封蝋。瓶詰めされたボトルは作業工程の中で赤く封蝋されるのですが、何とすべて手作業で行われています。
そう、まさに世界に二つとないボトルが出来上がる。
小さな蒸溜所とはいえ世界的なメーカーですから、年間の生産本数はおそらく相当な数量です。生産性や効率を考えると、どう考えても自動化ラインでするのが普通でしょう。しかし、この蒸溜所では昔ながらに人が手作業でこれをしています。
大量生産としてはこの上なく手間がかかり非効率な作業ですが、一つ一つ丁寧につくられたメーカーズマークはメーカーとしての伝統とこだわりであり、高品質の証なのでしょう。
この作業工程の映像をみると、そこにはつくり手の思いが込められていると感じます。
<メーカーズマーク>
手作業で封蝋をしている工場(封蝋作業は30秒ころから)
貼り箱は、人の手で丁寧につくる。
私たちがつくる商品パッケージ、貼り箱もまったく同じです。
貼り箱も大きく分けて自動機械でつくる大量生産と、我々のような多品種小ロットを中心に貼り箱をつくっている会社があります。
量産型の会社は、洋菓子の貼り箱などを1ロットで数千〜数万個、もしくは数十万個以上の貼り箱を生産します。これにも半自動機と全自動機があり、半自動機は一部の工程に人が入ります。全自動機はセンサーを使ったコンピューター制御で完全に自動化されていて、数万個から100万個以上あっても作ることが可能です。
それに対して手加工はその対極で、弊社では主に数百個〜1,000個や2,000個といったロット数で、中にはロット50個なんていう注文もあります。
その代り自動機では貼れないような複雑な構造の貼り箱や、紙ではなくスエードなどの布生地を貼る箱など、手加工ならではの微妙な手加減が必要な貼り箱を得意としています。
時間と手間がかかり効率的とはいえませんが、一般的な貼り箱とは一味ちがうものを作っています。
そこは同じ貼り箱でも、ある意味「別物」かもしれません。
貼り箱を、使う目的によって違うでしょうね。大量にコストを抑えて作るなら自動機、数量は少ないけれどある程度の予算をかけてでも手の込んだ高品質な貼り箱が必要なら手加工。ということでしょう。
特に弊社の場合は、貼り箱というモノ(ハード)だけではなく、それをどうデザインしていくかに重点をおいています。
それはパッケージデザインとしてのビジュアル的なもの(グラフィックやコピーなど)ではなく、中身の商品のコンセプトや企業の思いをどうパッケージデザインとして落とし込むかです。
モノよりも、コトの時代へ
ブランドコミュニケーションとしてのパッケージ
昔と違って、今はこの考え方になってきています。
単純に見た目が「カッコいい」とか「高級感がある」というだけではその魅力は伝わりません。
目に見えるもの(モノ)だけでなく、目にはみえないけれどその商品をどう感じるか(コト)が大切です。
今の効率や生産性重視の時代だからこそ、商品にも「人の手で丁寧につくるパッケージ(貼り箱)」に価値が生まれるのかもしれません。
そしてパッケージには商品を包む、保護する、運ぶという機能以外に大切な役割があります。ブランド、企業とユーザーを結ぶコミュニケーションという役割です。
ブランドの考え方や意思といった目にはみえないものを、パッケージを通してユーザー/消費者に伝えます。ブランドコミュニケーションとしての大きな役割です。
【コミュニケーションって、こういうこと】
コミュニケーションって、なんでしょう。ブランディングやコンセプトなどと同じで、わかっているようでも意外とわかっていない(説明しにくい)言葉のひとつかもしれませんね。
包むことで、新たな「価値」の生まれる箱があるんです!
手間をかけることは「愛情」をかけること。
「愛情」をかけることが私たちの仕事です。
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