パッケージ/貼り箱は、素材の感性情報をまとわせる
公開日:2018年12月24日(月)|貼り箱
アナログなものづくりが、貼り箱のクオリティを仕上げます。
最近、スタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅(1968年公開)」の公開50周年を記念して、クリストファー・ノーラン監督の協力で当時の「70mmフィルム」による上映が行われました。
現在日本国内で70mm映画を上映できるのは国立映画アーカイブ(東京都中央区)のみで、私は観ることが出来ませんでしたが、フィルムでしか表現できない粒子感や独特の深みのある色調だったようです。今のデジタルな時代、こういうアナログ映像を生で観てみたいですね。
そしてノーラン監督いわく、「フィルムで上映される前提で作られたものをデジタルにすると、その時点でフィルムの持っている様々な感性情報が失われてしまう」とインタビューで答えています。
詳しくは、こちらをご覧ください。
『2001年宇宙の旅』70mm上映はどう実現した? 国立映画アーカイブに聞く、その背景と役割
https://realsound.jp/movie/2018/10/post-259674_3.html
私もフィルムカメラを30年以上前からやっているので、この言葉の言おうとすることはよくわかる気がします。
ここ数年この自社サイトの作例用に、貼り箱の写真を撮るのはもっぱらデジタルカメラになりましたが(WEB用に載せる写真なら、やはり最初からデジタルで処理するのが適しています)、プライベートではまたフィルムを復活させています。
同じ写真でも、フィルムとデジタルはまったくの別物。という気がします。テレビも2003年から地上デジタル放送が始まり、アナログと比べてすごくキレイな映像になりました。デジタルの恩恵は、素晴らしいものがあります。
音楽を聴くにも共通したものがありますがCDで聴くデジタルな音と、レコードを真空管アンプで聴く音は明らかに違います。「どちらが優れている」という単純な話ではありません。
もちろん人それぞれの「好み」もあるので、見解が分かれるところ。
私個人的には「フィルムの質感」は、やはりデジタルにはないと思っています。
中々言葉では言い表わしにくい、いわば非言語領域。まさに感性の領域ですが、そこにこだわるのがものづくりの面白いところです。
貼り箱も同じものづくりとして特にフィルムに見られる、この素材の質感の表現はよく似ています。貼り箱はボール紙でつくられた中芯の上に、紙や布生地などの素材を貼ってつくるパッケージです。つまり素材の「質感」が貼り箱の命であり、最も大切な要素です。
それは印刷技術が高度に進んだ現代であっても、印刷によるビジュアルでは表現が難しいところです。
特に「紙」はものすごく色々な種類があり、色や厚みはもちろん紙そのものが持つ質感はすべすべした無機質なものからザラついた表面、あるいはとても柔らかくコットンのような優しい表情まで本当に様々です。
これはまさにデジタルが作り出したものではなく、実態のあるアナログな素材そのものです。
素材は、とても人間的な営みから生まれたもの
貼り箱のパッケージデザインは、この素材を活かすことが最大の特徴。素材や色の使い方で商品コンセプトを表現することが出来ますし、最終的な貼り箱の仕上げによって、品質の良し悪しが決まります。
そこはいかに丁寧な加工から仕上げによって、全体としてまとめ上げるかが貼り箱のクオリティにつながります。
CMF(COLOR・色、MATERIAL・素材、FINISH・仕上げ)デザインがなせる技です。
フィルムにみられるアナログなものづくりを、貼り箱として作っていきたいです….。
感性価値としてのCMFデザインと貼り箱(パッケージ)の関係
https://www.hakoya.biz/blog/seminar/item_890.html
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