貼り箱は素材が命。パッケージ素材によるメリットとデメリット

公開日:2019年05月13日(月)貼り箱

パッケージデザインに大切なのは素材の質感

パッケージ/貼り箱には、ファンシー(またはファイン)ペーパー(様々な色や模様、柄で豊かな表情を持つ装飾性の高い洋紙)と呼ばれる紙を、接着剤にニカワ(工業用ゼラチン)を使って貼ります。

ファンシーペーパーとは?(Weblio辞書より)

ファインペーパー

ゼラチンの歴史(にかわ)

貼箱とはどんな箱?

貼り箱は素材が命。パッケージ素材によるメリットとデメリット

そのファンシー・ペーパーですが、様々な色や表面の質感やエンボス(凹凸)の入り方が紙によって違います。
それは見た目のデザインや触ったときの感触の違いになるのですが、大事なことは「いいことばかりではない」ということです。

加工特性はもちろん汚れや擦り傷、貼り箱の製作過程と何よりも完成してから流通過程などお客様が実際に使われることを考える必要があります。

よくあるのは、デザイナーが貼り箱のことをあまり理解されておらず、素材選びをサンプル帳だけをみて決められる場合です。そうなると当然、見かけの色や質感だけで選んでしまします。

パソコンのモニター上のデザインだけで選ぶのではなく、ちゃんと実物のサンプルを見て選ぶわけですから、ある意味正しいやり方です。

しかし、実際に貼り箱を作るにはそれでは不十分です。
何故なら、「この素材を使ったら貼り箱がどうなるか?」を考える必要があるからです。

貼り箱は素材が命。パッケージ素材によるメリットとデメリット

見た目と違う素材の実用的なメリットとデメリット

これを考えずに素材を選んでしまうと、箱につく汚れやスリキズが目立ったりします。
そうなると折角美しい貼り箱を作っても、商品を購入されたお客様の手元に届いたときに箱がいい状態でなくなっています。

企業にとっても、お客様にとってもいいことではありませんね。
それを防ぐには、パッケージ素材によるメリットとデメリットを知った上で紙を選ぶことをオススメします。
それは、素材と製作現場をよく知る私たちにお任せいただきたいです。

紙は厚み(連量)と堅さ、色、質感を考えて選ばないといけません。
厚みと堅さは、紙を貼るときの加工に関係します。基本的に厚みと堅さは比例することが多いですが、中にはあまり厚みがない(薄い)のに、結構堅さがあるという紙もあります。

例えば、「ビオトープ」もその一つ。弊社では「ビオトープ/ベリーレッド」を時々使いますが、いつも使うのは「60kg」。その上は「90kg」なんですが、これはかなり堅い感じです。

<トーンF(tone-f)での事例>
ギフトボックスをつくる。新しい紙、厚みの選択の決め手はどう仕上げたいか。
https://www.hakoya.biz/blog/haribako/item_1022.html

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弊社では通常、四六判70kgを標準的に使います。
もし「90kg」なら厚みもあってしっかりしているので、表面的にはしっかりした感じにはなりますが、やはり角部分は浮きやすくなります。

貼り箱は、角が浮くと美しさを失います。
実はお菓子の箱など、市場に出回っている貼り箱にはそういうものがたくさんあります。
適度な紙の厚みと堅さが、貼り箱には欠かせません。

色。ときどきあるのは「白い箱」にしたいという場合です。
白い箱、きれいですよね。確かに、汚れがなければ綺麗です。

しかし紙です。特にファンシー・ペーパーではマット系の紙が多く、表面加工もされていないので、ちょっとしたことで表面は汚れます。そして付くと殆ど取れません。
これが紺とか黒とか、濃色の紙ならちょっとした汚れはわかりません。汚れが付かないのではなく、付いても目立たないのです。

なので濃色の紙なら汚れはあまり気にしなくてもいいですが、白やそれに近い薄い色の場合は汚れを考えなくていけません。
白い紙をご希望のときは、真っ白ではなくアイボリーなどの少し色が入っている紙をオススメしています。

貼り箱は素材が命。パッケージ素材によるメリットとデメリット
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そして擦り傷です。加工中にも擦れはあるので、擦り傷は付きやすいです。傷が全く付かないなんてことはありません。しかしもっと大きいのは加工中ではなく、お客様に納品されてからです。

箱の中に商品を詰める作業、それをまた包装などする作業、最終的にはそれらが店頭に並んだり商品棚に収まったりと、それまでいろんな人が手を触れ流通していきます。
恐らく、いろんなところに箱が擦れて傷をつけます。

汚れと一緒で擦り傷は付くことを前提に、付いても目立ちにくいことを考えないといけません。
そうなると、鏡面仕上げのツヤ紙は最悪です。とんでもなく傷だらけになるからです。

マット系の質感で、できれば程度なエンボス(凹凸)ががある方が傷はわかりにくいでしょう。
これは紙によって様々な質感のタイプがあるので、各々の素材を見極める必要があります。

このようにパッケージ素材による見た目と、実用的なメリットとデメリットは別の話でそれらを総合的に考えての素材選びをしないといけません。

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パッケージデザインは素材が命です。

素材そのものの特徴と加工工程、流通過程がどうなのかを想像するチカラが必要です。
最初の素材選びを間違えると見た目はキレイなデザインになったとしても、商品を購入する顧客にとって素敵な化粧箱、貼り箱にはなりません。

お客様のご要望は最初のヒアリングでお聞きするのですが、素材によってメリットとデメリットがあるので、特に汚れや擦り傷などデメリットについてはこちらでわかる限りのことをお伝えして、素材選びをさせていただいています。

せっかく希望を話してるのに、イヤなこと(デメリット)ばかりを言われて落ち込むお客様もおられるのですがエンドユーザー(顧客)がそのパッケージを手にした時、「素敵な箱に入っていて嬉しい」と感じていただけるようにしたいと考えています。

美しい貼り箱がつくられるまでの素材・カラー・仕上げ(CMFデザイン)には、繊細な心配りがなされて初めて素敵な化粧箱に仕上がります。

貼り箱の加工、素材の専門家である私たちに、ご遠慮なくいろいろとご相談いただきたいです。

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