パッケージにも、歪が心地よさを生むこともある
公開日:2020年10月20日(火)|貼り箱
先日放送のあった、NHK美の壺「楽器の王様 パイプオルガン」。
パイプオルガン製作の第一人者として、世界を舞台に活躍されている横田宗隆さんが映っていました。
約40年間海外におられ、近年帰国されて今は神奈川県にオルガン製作をされています。
まず驚いたのが、日本人でパイプオルガンをつくられている方がおられるということでした。
日本国内にパイプオルガンがいくつあるのかを考えると、海外で活動されていたのは納得です。
国内のコンサートホールでは、思いつくのはNHKホールやサントリーホール、大阪ではザ・シンフォニーホールなどです。
昔、ザ・シンフォニーホールのパイプオルガンは、聴いた記憶があります。
あとは、カトリック教会などにあるパイプオルガンですね。
もう20数年前ですが、カナダ・バンクーバーで結婚式を挙げたとき、地元のカナダ人の友人が式の手配をしてくれました。
結婚式場ではなく、街の中にある普通の教会です。
そこで、オルガニストの方に結婚行進曲を弾いていただきました。
もちろん、教会のパイプオルガンです。
日本からは私たち夫婦だけでしたが、バンクーバーの友人たちが30〜40人くらいだったかな?出席してくれて、パイプオルガンの音色が響くとても厳かな式でした。
それはさておき、横田さんがパイプオルガン製作についてこう仰っています。
いろいろな人間の感情
あるいは人間以外のいろいろなものを表現する力がある
持続音に残る雑音を
完全にきれいにするのも良くない
ある種の雑音をある程度 残すと非常に心地よい
何か、わかる気がします。
私はレコードやCDを聴く時に、真空管アンプを使っています。
珠は、1940年代の古いもの。
最新のデジタル・アンプに比べると、歪が多いです。
しかし、その歪があることで、耳には心地よく聴こえます。
きれいな音が、絶対にいいとは限りません。
もちろん人の感覚のことなので、「歪がいい」とはいいません。
好みですからね。
プロダクトにも、通じるところがあるかもしれません。
自動車でいえば、昔のいすゞ117クーペやフェラーリなんかのボディーは、職人によるハンドメイドでした。
ハンドメイド、ある種の「歪」の良さ
技術的に手づくりでしか作れなかったということもありましたが、技術の進化で大抵のものが機械化で量産化できてしまうものとはちょっと意味合いが違います。
現代の「効率化重視」とは掛け離れていますが、ハンドメイドで個体差がある、ある意味の「歪」が心地よさを生んでいたんだと思います。
均一に量産化されたものの良さはもちろんありますし(高品質で安価)、それとはまた違った次元のハンドメイド(ある種の「歪」)も、それはそれで味があるプロダクトです。
私たちが、つくっている貼り箱もそうです。
高品質で安価、均一化された貼り箱あり、その対局にハンドメイドでつくる貼り箱もあり。
ハンドメイドでつくられるある種の歪も、楽しんでいただけたら嬉しいですね。
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