化粧箱とは? なぜ人は化粧箱を使うのか?
公開日:2024年03月22日(金)|貼り箱
商品があれば、箱/パッケージが存在します。
一言に「箱」といってもいろいろなカテゴリーがありますが、大きな分け方をすると外装箱と化粧箱でしょうか。
<外装箱/外箱>
この代表格は、段ボール箱です。主に、商品の輸送用に作られた梱包箱です。
商品を市場に流通させるためには、必要不可欠な箱です。ただし輸送(機能)に特化しているため、パッケージとして装飾などはされていません。あるとしたら、メーカー名や商品名くらいです。
<化粧箱>
それに対して化粧箱とは、その名の通り「化粧された箱」。つまり梱包や流通の機能だけでなく、商品を着飾るという感情や情緒的な価値を身にまとったパッケージを指します。
これは梱包という機能以外に、商品を「売る」ことを主目的にした箱です。
美粧性を大切にしながらも大量生産を前提にしているので、いかに美粧性を高めてコストも抑えたものが主流です。
段ボールを使ったものや薄い板紙(厚さ約0.3〜0.6mm程度が多い)に、印刷や表面加工(ニス引きやフィルム加工など)を施して美粧性とともに付加価値を高めた箱です。
これらは材質は様々ですが、組み箱(平面から組み立てた箱)とかトムソン箱(機械で型抜き加工(トムソン加工)された箱)と呼ばれます。基本的にすべて機械加工なので、量産が容易でコストも抑えられます。
<貼り箱(はりばこ)>
弊社はこの貼り箱の専業メーカーですが、化粧箱の中でも特に美粧性を高めたものが貼り箱です。
「貼り箱」は一般的な言葉ではありませんが、いい和洋菓子や高級化粧品などにはよく使われています。
厚紙(1〜2mm厚)で箱のベースを作り、その上からファインペーパー/ファンシーペーパーと呼ばれる化粧紙を接着剤(ニカワ)で貼って作る紙箱です。
印刷された紙を貼ることもありますが、本来は紙の色(表面の印刷ではなく、紙を作る工程で色染する)や素材自体の質感でパッケージデザインされた箱。印刷によるビジュアル的な表現よりも、紙の色と質感で魅せていくパッケージです。
折り畳めないのでかさ張る、コストが高い
貼り箱はこれが欠点とされますが、これらをどう考えるかです。
組み箱は、納品時は折り畳まれていて店舗など現場で組み立てます。かさ張りません。これはいい面です。貼り箱は、立体物として仕上がるので折り畳めません。
裏を返せば、それだけ丈夫な構造の箱で見た目はもちろん、手に持ったときの感覚は組み箱とはまったく違います。高級感や上質感があるのです。
そして、コストが高い。どんな貼り箱かによるので一概にはいえませんが、単価でいうと組み箱の数倍から10倍?くらいの差があります。
なぜ、人は化粧箱を使うのか?
では、なぜ化粧箱が存在し、その中でも高コストな貼り箱が存在するのか?
ブランドにとって、必要な理由があるからです。
外装箱は「運ぶ」ことが役割ですが化粧箱はそれ以外に「伝える」「魅せる」、最終的に「売る」という役割があります。そのために、外装箱よりも予算を割くのです。コスト重視で安っぽい箱にすると、ブランドの魅力が伝わらずに売れませんからね。
ブランド/商品の魅力を伝えて、最終的にお客様に売る(買ってもらう)ために、化粧箱は存在します。そして貼り箱の存在は、組み箱ではその魅力を伝えきれないために、貼り箱を使いたいお客様がおられるからです。
そのお客様にとって、貼り箱は単純に「コスト」ではないのです。コストと思った時点でいかに抑えるかを考えます。コスト(商品を生産、販売するための費用)は低い方がいいですからね。貼り箱を使われるお客様はコストというよりも、ブランドへの投資(ブランディング投資)と考える方が多いです。
化粧箱のコストは消費/消耗されますが、ブランディングのための投資だと考えると、それは時間を掛けて積み重なっていきます。そして、ブランド資産(ブランドエクイティ)になるのです。
それがまさに、ブランドの意思を運ぶ箱です。
ティファニーブルーのパッケージ然り、iPhoneの箱然りです。
今は亡きアップルのスティーブ・ジョブズは、「この箱にしたら、これがアップルの顔になる」として、社内全員の「コストが高すぎる」という反対を退けてあの箱を採用しました。アップルはiPhone箱に年間数百億円を費やしていますが、ブランドへの投資だからこそ、今ではアップルの「顔」になっています。
それだけ、ブランドへの投資価値があるからこその決断ですね。
なぜ、人は化粧箱/貼り箱を使うのか? その理由をおわかりいただけましたか。
コストとみるかブランドへの投資とみるかは、「伝える、魅せる、売る」に大きな影響を与えます。
これから商品のパッケージ/パッケージデザインをどうしようと考えているあなた、私たちのような箱の専門家に相談してみてください。
長い目でみて、結果が大きく変わるかもしれません。
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