iPhoneが入ってるようなパッケージ/化粧箱を作れませんか?
公開日:2016年11月01日(火)|貼り箱
iPhone が入っているパッケージ。
まるで、高級ブランドの腕時計が入っているような質感とクオリティーです。
箱の中から iPhone を取り出すことを、ファンの間では「開封の儀(つまり、一つの儀式)」というそうですが、箱から商品(モノ)を取り出すことそのものがひとつのストーリーであり、人をワクワクさせる体験(コト)なのです。
最近ちょくちょく、「iPhoneが入ってるようなパッケージ(貼り箱)を作れませんか?」と問い合わせが来ます。
「まったく同じものは簡単には作れませんが、疑似的になら作ることは可能です!!」と、どこまでのことをお客様が要求されているのかをお聞きします。
あの貼り箱は業界的には「究極の貼り箱」といわれていて、実際に作っているのは台湾ですが、イタリア製の世界最新の貼箱製造機をiPhone用貼箱の「専用機」にカスタマイズし、恐らくそれらを数百台以上使って製造されています(現在は、中国製の機械のようです)。
設備投資に1セット〜数千万円程度?、それを数百台ですから「数百億円」を投じて、あの貼箱1個の原価が@数百円と言われています。
現在iPhone年間販売台数は2億台以上〜なので、アップルは箱代(〜数百億円)+設備投資数百億円を使ってあの箱を作っています。
アップルの執念とも思える、パッケージによるブランディング。
一般ユーザーはあれがそんなすごい箱だとは知りませんが「何かを感じる」ため、箱から自分のiPhoneを取り出すところをビデオ撮影し、YouTubeにアップしている映像が世界中で50万件以上あると言われています。日本の電機メーカーの商品では、こんなことはありえません。
Unboxing、パッケージの開封体験がブランドの第一印象につながる
Unboxing(アンボクシング)とは、パッケージの中から商品を取り出す一連の経験(experience)を示す英語のスラングで、日本語だと「開封の儀」でしょうか。
素敵なパッケージは、「箱から商品を取り出す」という一種の感動体験を与えてくれます。D2Cは実店舗を持たないところも多く、届いたパッケージの開封体験がブランドの第一印象に大きくつながります。
商品クオリティ(モノ)とは違う、人のこころが動く体験(コト)をパッケージはつくることが出来るのです。ブランドにとってこの体験こそが、ブランドをブランドたらしめるのです。
その開封体験がブランドイメージに直結
長期的にみてそれがブランド資産になる
さてこちらは、弊社でパッケージ制作とブランディングをお手伝いさせていただいている和包丁(株式会社福井、大阪府堺市)の新ブランド「HADO」の貼り箱。
主に欧米など海外輸出が多いこの和包丁ですが、商品の卸先であるオーストラリアのお店がつくられたプロモーション動画(2分51秒から)です。商品のレビューとともに、Unboxing(開封体験)についても語られています。
商品パッケージは包装資材としての機能の他に、「ブランドイメージを伝える」というブランドコミュニケーションの役割があります。そう考えると単なる包装資材コストではなく、長期的な視点でブランドへの投資です。そしてそれらが積み重なることで、ブランド資産(ブランドエクイティ)となります。
このように世界一高度な技術、そして投資をして作られたもので、そう簡単に真似の出来るもの代物ではありません。
もし作るとなると、相当な費用と技術が必要です。
そこで「疑似的になら〜。」と、提案させていただくことがあります。
iPhone貼り箱と比べるとかなり簡易的な方法で、一般的なものよりは費用がかかりますが、比較的費用を抑えながら「iPhone貼り箱」っぽい感じには作ることができます。あくまでも「〜っぽい箱」です。
ただ「iPhone箱のような〜」はお客様によって捉え方が様々で、その箱の機能的なこと(角が直角、蓋を開けるときの空気のヌケ感)を言われる方もおられます(これは、現実的にはハードルが高いです)。
そこではなく、あのシンプルな美しさや雰囲気を再現したいという場合も。これは素材の選択や形状など、アプローチの仕方はいろいろとあります。
そのあたりはご相談いただければ、お話を伺ってご提案をさせていただきます。
こちらの「お問い合わせフォーム」からお願い致します。
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先日、知人のお二人から「iPhone」の箱を譲っていただきました。
そしてついに、一部を分解してみました(まだ一部ですが)。
すると、驚愕の事実がわかりました。写真は、箱の側面部分です。これだけではちょっとわかりにくいですが、謎が解けました(笑)。
まずは「貼箱」の生地(ボール紙)の構造ですが、一般的な貼箱は通常天面(もしくは底面)の角は、ボール紙の厚み分だけ「面取り」したように「斜め」になります。
しかし、ご存知のように「iPhone」の箱は直角です。
これは、構造的には可能で、ボール紙を「二重構造」にすれば出来なくはありません。
しかしそれとも違い側面部分(枠)は「Vカット」、それに天面(底)のボール紙をこれも内と外から挟んで、直角な箱にしていました。
これは、「なるほど!」という感じ(笑)。
しかし凄かったのは、「包み紙」です。言葉で説明するのが難しいですが、通常は側面に一旦「紙の端(フラップ)」を巻き込んで、その上からまた対角面をかぶせるように貼るため、「フラップ(業界では“チンピラ”と呼ぶことも。笑」との境目が上から観るとわかります(紙厚のため)。
しかし、この箱にはそれがありません。開けてビックリ。“チンピラ”は通常、左右両端とも15mm程度ですが、この箱は左右とも両端まで延びています。そのため紙厚の差が出ないので、境目がないように見えてとても「スッキリ(美しく)」なるのです。これには、さすがに驚きました。我々の常識をはるかに越えたやり方です。
問題は、これをどうやって作っているかです。これも業界の常識的に考えると、手作業に思えます。しかし、製作ロットは数千万個単位。
いくら「中国」とはいえ、「貼り」を全部手作業というのは想像がつきません。もしかするとこの箱のために「専用機械」を作って貼っているのか?
それとも、一部機械を使いながら最終的には手作業による人海戦術なのかわかりません。作り方をもし知っている方は、教えて欲しいくらいです。
いずれにしろ、業界の常識をはるかに越えた「ものづくり」といわざるを得ませんでした。この経験を与えていただいたお二人(箱をいただいた)に感謝致します。
それにしても、アップルの恐ろしいまでの「美の追求」と「こだわり」に脱帽です!!