黒谷和紙「工芸の里」(1)
公開日:2009年07月05日(日)|ワークショップ
毎月1回集まっては、ワイワイと素材やプロダクトなどの話題で盛り上がる「扇町マテリアル会議」のメンバー10名で、京都綾部にある黒谷和紙「工芸の里」へ、和紙漉き体験に行って来ました。
場所は、京都府綾部市十倉名畑町。大阪から車で、約2時間余りでしょうか。
黒谷和紙「工芸の里」は、閉校した「口上林小学校」を改装したものです。
ここでの製造工程は実に複雑で、和紙の原料である「楮(こうぞ)」の収穫から始まり、「楮蒸し」(皮を取りやすくするために蒸す)、「加工」(熱い内に、使用する皮の部分をはぎ取る。はぎ取ったものを「黒皮」と呼ぶ。そして乾燥させ保管。)、その後黒谷へ出荷(ここまでは、楮生産組合での作業)。
そして、黒谷町での作業が始まります。
「楮もみ」(黒皮を川につけ、足で踏んで揉む)、「楮そろい」(表皮とキズを削り取り、白皮にして保管。)
これから、いよいよ「工芸の里」での作業です。
「煮ごしらえ」(水に二日ほどつけて、柔らかくする。)、「楮煮」(煮る)、「みだし」(水洗いし、小さなゴミを取る。)、「紙たたき」(餅つきのようにたたいて、繊維をほぐす。)、「ビーター」(水とたたいた楮をビーターに入れ、どろどろの綿状「紙素(しそ)」にする。)、「紙漉き」(漉き船に水、「紙素」そして、「トロロアオイ」の根から出てくる粘液「サナ」を入れ、簀桁(すげた)で漉く。)、「押し」(漉き重ねたものをプレスし水をしぼる。)、「乾燥」(蒸気ボイラー乾燥機か板干しで乾燥。)、「選別」(紙の重さ・出来具合いをチェック。)
これだけの工程を経て、黒谷和紙が出来上がります。
あとでさせていただく「漉き」の作業は、長い工程の中の最後の方。一番美味しいところです。
これらのお話を聞くと、「貼箱」にも共通するように思います。
「貼箱」も「和紙」同様、「貼り」の作業は殆ど最後の工程で、それまでの企画から設計、サンプル製作による寸法出し、それからボール紙や貼り紙(時には紙以外の素材)、その他のパーツ類の下準備(断裁、罫線入れ、隅切り、ハス切り、箔押し・・・)など、とにかく形になるまで大変な工程を伴います。
また、今回興味深かったのは、この「工芸の里」は閉校した小学校を利用した施設だったことです。
昔の学校の姿がそのまま残っており、教室にあった古いオルガンや教科書、そして地域の郷土資料なども展示してあり、さながら「歴史博物館」のようでした。
これから、職人さんの「紙漉き」を見せていただき、我々の「紙漉き体験」へと続きます。
次回をお楽しみに・・・。