クリエイティブって、こういうこと

英語の「クリエイティブ」は日本語で「創造的」と訳されます。「創造的」と聞くと、“じぶんには縁遠いことだなあ”と、他人ごとに感じてしまいませんか。でもね、クリエイティブって「創造」というよりは「工夫」なんですよ。ほら、「工夫」と聞くとじぶんごとに感じるでしょ。
村上紙器工業所の“こういうことシリーズ”。「ブランディング」「コミュニケーション」に続いて、今回は「クリエイティブ」について語ります。

目的がなければクリエイティブじゃない

「クリエイティブとは小さな工夫である。そして、小さな工夫は工夫でも、オリジナルな小さな工夫である」ということを前回、糸井重里さんの言葉を引用しながらお話ししました。ここではクリエイティブを、“工夫は工夫でもオリジナルな小さな工夫”と定義してお話を続けます。そうすると、「クリエイターとはオリジナルな工夫をするひとだ」と言い換えても良いでしょうね。ここで、ちょっと言いたい。デザイナーやコピーライターなど、いわゆるクリエイター職といわれるひとだけがクリエイターでしょうか。あらゆるひとがそれぞれの関わるいろんなシーンでいままで以上によりクリエイティブ(オリジナルな工夫をし、それを続けていくこと)になれば、いろんな意味で何ごともいままでと大きく変わっていくのではないでしょうか。そうなんです!そういう視点を持って実践すればすべてのひとがクリエイターなんだ。だから、この文章が「クリエイティブ」ということを見つめ直してみる機会になればいいですね。

そう、クリエイティブな視点を持てれば、あなたも今日からクリエイターだ。

クリエイターってじぶんの思いつきで好きなようにつくりたいものをつくっている。そんなイメージが先行しているかもしれないけど、でも、ホントウにそうなんでしょうか。

最初に定義したとおり、“オリジナル”という縛りや制約が常にあるのがクリエイティブ。クリエイターという人種は縛りの中でやっているんだから、ぜんぜん自由じゃない。勝手きまま、自由気ままにやっているじゃない。オリジナルな工夫って、じつは自由からは出てこない。では、クリエイターはどんな思考方法(視点と置き換えてもいいかもしれない)で考えているのだろう。まず、必ず依頼主からのお題があります。その依頼とは、こうだ。「こういう課題があるから解決してほしい」「今まではこうだったが今後はこうしたい」「こういう方向でなんとかしてほしい」など。」他にもいろいろな種類の要望があるでしょう。まったくそういう縛りがなく自由に描いたりつくったりしているのはクリエイテーではなく、アーチスト。それも「ピュアアーチスト=芸術家」と呼ばれるひとたち。クリエイターとアーチストは、そこが根本的にちがいます。「なんらかの課題解決をしてほしい」という要望のないオーダーはありません。そして、ここからがクリエイターがどう「工夫=創意工夫」するかの腕の見せ所です。

 「創意工夫」の“創意”とは「それまでのモノの見方や考え方にとらわれない発想」ということ。いままでになかったことだから、オリジナルなんです。例えば、「このチラシをもっとインパクトのあるものにしてほしい」と言われたとき、「インパクトがほしいのはひと目を引いて」「より多くのひととコミュニケーションしたいんでしょ」「だったら、チラシをやめて○○にしてこうやった方が響くコミュニケーションになるんじゃないですか」ということが提案できるのがクリエイターである。ミッションを再定義し、新たな方向性(コンセプト)を提示し、オリジナルな工夫があるゴールへと導く。そういう視点や思考から出てくるのがオリジナルな工夫だから、“ひとマネじゃない”と言えるのです。強引だけど、「そもそもオリジナルな工夫がなければクリエイターじゃない」と言ってしまっても良いかもですね。安直にビジュアル素材を探してきて済ませようなクリエイター諸氏には耳の痛い話かもしれません。でも、クリエイティブとはそうあるべきです(そうあるべきです!)。

とはいえ、「オリジナル」を目ざせと言われても、ハタと困りますよね。いままで古今東西、世の中になかった独自なモノのなんて、そうそうあるわけじゃない。でも、そう考えちゃうから、クリエイティブが難しいものになっちゃうんです。ようは、どこにオリジナリティを求めるかということになります。前述したように、「これを解決してほしい」「こういう方向でなんとかしてほしい」というオーダーから仕事がはじまるとしたら、いちばん大切なことは仕事の“はじまり”にあります。このオーダー(ミッションといっても良いでしょう)が本当にそうなのか、そこに課題の本質があるのかということを再定義しているかどうかで、解決の道につながります。ミッションは与えられたそのままではなく、再定義しないと本当に求められているゴールには行き着けません。

よく引き合いに出される話をひとつ紹介します。「王様が世は傘がほしいんじゃ。皆のもの、すぐに傘を探してまいれ!」と、言ったとしましょう。このとき、あなたなら、どうしますか?国中でいちばんの傘屋さんを探すべく走り回りますか。知っている傘屋さんに特上の傘を発注しますか。でも、ここでミッションを再定義してみることが肝心。それは、“王様は本当に傘が欲しいんだろうか”というところまで立ち返えるということです。よくよく考えたら、王様がじぶんで傘なんかさすはずがないじゃん。王様は傘がほしいんじゃなくて雨に濡れたくないだけなんだ!と、気づけば、アイデアは縦横無尽に広がります。そうです。「王様は雨濡れたくない」ということこそ本当のミッションなんです。

そこがわかればいろんな解決法(工夫の仕方)が見つかるはず。お城の下から国中にトンネルを張り巡らそう。国中の道にアーケードをつくろう。国民みんなで傘をさして長い行列をつくろう。他にもいろんなアイデア(工夫)が出てくるのではないでしょうか。ミッションを再定義したことでいままでとは違うアイデアがいっぱい出てきます。それが工夫をするということ。天地創造のようなことを考えなくても小さな工夫で「王様が雨に濡れない」工夫が見つかるでしょう。それこそが、クリエイティブなのです。“ひとマネではないアイデア”が見つかったのは、アイデアの入り口をひとと変えてみたから。そして重要なことは、アイデアの入り口を変えてみることでアタマが自由になったことなのです。アイデアってものは、解決というゴールへ向かうスタート地点でアタマを自由にしたら、ずいぶんと出やすくなるものです。それも、ユニークなアイデアが出てきます。

ほら、クリエイティブってあなたにもできそう。(そんな気がしませんか)

「工夫」とはひとマネをするのではなくて、新しいアイデアを自分でつくりだすこと。そのためにはアイデアへ向かうスタート地点で、ひとが持たないような視点を持つこと。それがミッションの再定義からはじまり、そこから発想した方向性によって導かれます。その方向性というものをコンセプトと呼んでもいいでしょう。コンセプトが面白ければ、アイデア(工夫)、も面白くなります。それがクリエイティブというものの正体です。
ひとマネじゃないとは、オリジナルということ。たとえ小さな工夫でも、オリジナリティを求めることでヨソがいままで達成できなかった結果を生みだす可能性が高まります。それがクリエイターって問題解決業だよねと、言われる所以でもあり、クリエイターの視点や思考が世の中のいろんな場面で求められる理由でもあります。デザイン思考などもそういうことかもしれませんね。

さあ、あなたもクリエイターの視点を理解し身につけてみましょう。

◎次回は「アイデアとロジック」というテーマで書く予定です。3回シリーズの最終回(リクエストがあれば、もうちょっと書いてみようかしら)。どうぞ、ご期待ください。

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