3回でシリーズを終える予定だったが、実践的なことを書いておいたほうが良いかなあと思い、番外編を書くに至った。グリコのオマケみたいなもので、読んだひとはラッキーと、思ってください。 本稿だけ読むのも良いけど、1回目から通しで読んだ方が、ちゃんと理解できますよ。

番外編1:アイデアは視点。
アイデアはいきなり出てこない。なぜアイデアを考えるのか=課題の本質を発見する(なぜに)→課題の本質を見つけて再定義する=コンセプトワーク(なにを)→アイデアを考えて実行する=プランや表現やアイデアなど(どうやって)→課題の発見からアイデアの実行までのロジカルな思考が必要です。
3回で述べてきたのは、マーケティングなどの分析手法、デザイン思考のような共感発見手法と違って、視点を探すというコピーライターがキャッチフレーズを書く際の感覚に通じる発想だ。自身も含めてコピーライターという人種はいつも視点を探している。この天然水のペットボトルをどのように捉えたらひとの気を引くのか、そして興味を持ってもらえるのか。そのための視点を、いわばキャッチフレーズをさまざまに考えるという方法で探っている。視点は切り口とも言えます。良い視点が見つかれば、あとは表現のディティールになる。どう言うか(How to say)を詰めていく作業になります。いきなりディティールから入らないで、“視点”を探すことからはじめることは大切。良い視点は新鮮なアイデアを連れてきてくれます。視点=何を言うか(What to say)がよくないと、良いキャッチフレーズは生まれない。同様に、良い視点がないと、良いアイデアや良いソリューションは出てこない。
番外編2:クリエイティブはクリエイターだけのものなのか。
もう、結論を察していると思います。クリエイティブは、“オリジナルで小さな工夫”と定義することで、クリエイターだけのものだけではなく、みんなのものになります。「小さな工夫」「小さな工夫は工夫でもオリジナルな小さな工夫」「そのオリジナルな小さな工夫を続けていく」ことをクリエイティブというと話してきました。この“続ける”と言うことこそクリエイティブの本質かもしれません。いつも「オリジナルな小さな工夫」を続けていく姿勢は、ひとと違う視点を見つけようという結果につながります。決められた枠組み、用意された枠組みの中で考えるのではなく、枠組みを自由に広げて飛び越えていくような発想を生むのは、ひととは違うオリジナリティを常に追求する姿勢や心根から生まれるもの。枠組みの中でやるなんてことは、やりたくないという姿勢をいつも持ち続けましょう。常に自身の“姿勢”を問い続けましょう。そうすることで、クリエイターならずとも、クリエイティブな発想を生み出すことができます。発想法とは技術体系ではなく、多分に精神論である。
番外編3:発想を縛るものをぶち壊せ。
いちばんイケナイ思考回路は、「これは、こういうもの」という思い込みや、「こういうことは、こうするものだ」という先入観で発想することです。この思い込みや先入観のことを「バイアス」と呼びます。そこで考えるとラクなんですよ。バイアスは枠組みだから。その中で考えれば良いだけ。でも、それだと、面白くないでしょ。新鮮なアイデアも出ないでしょう。自由な発想を縛るバイアスを打ち破って、「じぶんなら、こうする」という姿勢を常に持ち続けましょう。ちなみに、バイアスを打ち破るには、じぶんのバイアスがどこにあるかを発見することです。「あっ、そこがじぶんのバイアスだ」と気がつくことができれば、そのバイアスを取り除けば良いわけですからね。言うは簡単です(笑)。それが、やれるようになれば、あなたのアイデアはどんどんクリエイティブになっていくはず。さあ、トライしてみてください。

今回の「クリエイティブって、なんだろう」は、この番外編で正真正銘の最終回。3回+番外編でお話ししたことをいつも意識して発想してみましょう。やり続けることで、いつかじぶんのものになるはずです。皆さんのお役に立てる考え方であることを、信じています。