◎村上紙器工業所
クリエイターズネットワーク」シリーズ 4

村上紙器工業所の仲間であり友でもある、素敵なクリエイターたちをご紹介します。仕事上のパートナーであるだけでなく、公私にわたって刺激しあえる彼らの存在が、さまざまな糧となり支えとなってくれています。

クリエイターズネットワーク #4:芦谷正人氏

株式会社DRIVE
芦谷正人氏

村上紙器工業所の仲間であり友であり、師匠でもある、素敵なクリエイターたちをご紹介します。じぶん(自社)をセルフプロデュースすることからはじまり、ブランドという言葉に出会い、クリエイターとの接点を広げていこうとしたことが、いまの村上紙器工業所の製造業らしからぬポジショニングをつくっていったと言えます。

株式会社DRIVE


レトロでいい感じの空間ですね。(村上)

 いいでしょ。ここへ移って、もう7年になります。リノベーションされていない空間を探していて、いろいろなビルを見てまわっているときに、ここと巡り合いました。見て、即決でした。天井が高くて、あちこちの造作にも古い時代のビルの面影を残しているところが気に入っています。(芦谷)

棚に飾ってあるのは、ペーパーバッグのサンプルですね。(村上)

株式会社DRIVE

 そうです。村上さんもよくご存じのように、うちにはデザインとネット通販事業という2つの顔があります。ネット通販事業とは、箱と紙袋を一つに統合してパッケージを通してお店のブランディングをお手伝いするというECビジネスです。紙袋って需要は多いんですが、供給先が見えていないんですよ。それで、うちの取引先にパッケージのネット通販を勧めたんですが乗り気じゃなかったので、うちではじめることにしました。単に資材の販売だけではなくて、想いの強いお客さまへうちなりのデザインアドバイスを提供しています。面白い仕様の商品を探すのも、接客するのもデザイナーがデザイナー目線でやっているところに、他社にはないうちだけの特長があります。(芦谷)


お付き合いをはじめて、もう14年ですね。(村上)

株式会社DRIVE、芦谷正人氏

 当時、「e製造業の会」というのがあって、そこに村上さんも参加していたわけですが、その会からセミナーの講師を誘われたんです。海外のデザイン本から影響を受けてブランディングという考えが面白いと思っていたので、ブランディングをテーマにやらせて欲しいと申し入れて実現させてもらいました。会員向けの20人くらいのセミナーでしたよね。

 海外の本からは「デザインをコンセプト化する」とか、「デザインは表層的なものではなくインフラなんだ」とか理論や考え方をたくさん吸収しました。そんな中の一つがブランディングという考えでした。(芦谷)

株式会社DRIVE


村上さんが方向性に悩んでいたころです。(芦谷)

 村上さんとはそのセミナーで繋がりができて、いろんなところでセミナーをやるたびに来てくれるようになり、飲み友にもなっていきました。

 村上さんというひとは、じぶんを客観的に見ることができていました。パッケージ製造の分野では異人種でありアウトサイダーです。だから、じぶんのやっていることにずっとジレンマを抱えているように見えていました。きっと、方向性に悩んでいたんでしょうね。

 そういうわたしも方向性を変えて行った時期でした。当時はデザイン会社をやっていたんですが、大きな仕事は広告代理店に持っていかれてしまうし、なんとかしないといけないと思っていました。ある美容室の仕事を直でやるようになり、オーナーから経営を叩きこまれました。経営というものはいつも殺気だっているというか、ホントウに命がけだということを知らされました。(芦谷)

株式会社DRIVE、芦谷正人氏


芦谷さんの紹介でメビックに出入りするようになりました。(村上)

 水道局時代のメビックは面白かったですよね。いまの館長である堂野さんが就任して来てじぶんのモヤモヤを話したら、「ほな、何か一緒にやらへんか」「この街のクリエイターと何かやろうや」となったんです。メビックのインキュベーション施設には当時10何社か入居していて、そこのひと達を中心にした活動に外部の人間として関わっていきました。1週間に4日くらいイベントしていました。ひとを集めては交流する。そして飲む。その繰り返しでした。しょっちゅう飲んで、帰宅が遅くなってタクシーで帰っていました。(芦谷)

株式会社DRIVE、芦谷正人氏

 芦谷さんの紹介でメビックに出入りするようになり、ADの浪本さんとも知り合いましたし、ヘラ絞りの吉持さんとも知り合いました。うちはBtoBの企業なので、クリエイターとの接点はまるでありませんでした。直接会うことなんかはなかったですから。楽しくて、セミナーにも毎回参加していましたし、毎日のようにメビックに入り浸り状態でしたよね。「ブランディングデザイン」というセミナーで“デザインのチカラでブランディングする”という考えに出会ってから、これはうちに応用できるのではと考えるようになりました。いろんなセミナーに通って、どんどんブランディングの深みにハマっていきました。(村上)

村上紙器工業所、村上誠

 メビックを中心にして、北区に熱いクリエイターの集積地ができたみたいになっていきましたよね。有名人がいなかったし、いろんな意味でヘンに行政色もなかったのが良かったんでしょうね。みんながフラットに付き合えて、それにしても、いま考えてもよく飲んいでましたね。(芦谷)

 このままここに居たら、飲んでばかりで、もうたまらんわー。と、わたしはメビックのインキュベーション施設から出ましたもん。(笑)それくらい濃くて熱い毎日でした。(浪本)
※ここでトツゼン、カメラ担当の浪本さんもたまらず発言。

 あの当時よく飲んで一緒に遊んでいた仲間からは、いまもいろいろと情報をいただいたり、ひとを紹介してもらっています。ありがたいことですね。(芦谷)

メビック:クリエイターのネットワークづくり・情報発信・販路拡大をサポートなど、大阪で活動するクリエイターを応援するコーディネイト施設。https://www.mebic.com

浪本浩一:https://www.langdesign.jp
吉持製作所:https://yosimoti.com


お互いにひとと交流し情報を得ながら、方向性を見出して行ったんでしょうね(芦谷)

 ずーっと黒子(表に出ない)として大手メーカーの下請けでやってきたんですが、新たに得た知識である“ブランディング”という考えを独自に取り入れることで、BtoBでも直受けの形態に振ったわけです。とにかく、専門用語が通じない相手に1から10まで言わなくてはいけないので大変でした。でも視点が変わったことで、モノを作っているだけではないというスタンスに立てました。その結果、ユーザー直が増えていきましたね。(村上)

村上紙器工業所、村上誠


これ100円やけど、ナンボでできる?(芦谷)

 下請けって、“これ100円やけど、ナンボにできる”って世界ですもんね。やっぱり、どうしても発注側からは下に見られます。まわりからも、下にいる存在と見られています。コスト、コストと言われて、どうしてもつくるものはショボクなっていきます。じぶんをもっと良く見せないといけないし、じぶんたちの価値を上げることをしないといけないのに、価値を下げることしかしないんですよね。そんなことをしていても、大袈裟かもしれないけど、この国にためになっていないと思うんです。ひとのためになることをやらないといけないのに、ゴミになっているだけです。ちょっと、極端ですけどね。(芦谷)


村上紙器のクオリティを世界へ。(芦谷)

 ミラノへ行ったときに感じたことですが、さすがデザインの国なんですよ。すべてのものがデザインされていました。エアコンのダクトやゴミ箱までデザインされていて、カッコいいんです。世界って、スゴイなあと、本気で思いました。

 話が飛躍するけど、村上さんには世界をめざして、いろんな国へ出て行って欲しいです。村上紙器のクォリティをドイツやアメリカへ持って行ったら、どうなるだろうってときどき思うんですよ。日本は内需8割の閉鎖的な国です。中国は逆に海外の志向をよく知っています。もっと外へどんどん出ていけば、外の感性を取り入れることができるはずです。そうなると、卓越した管理能力という日本人の特性が生きてくるはずです。

 まず1を立てると言いますか、ツバをつけることなんです。外国へ行って、とりあえず1個でもショップに卸すことができれば、蟻のひと穴になると思います。(芦谷)

株式会社DRIVE、芦谷正人氏


人生は妄想。(芦谷)

 いま話したことは妄想にすぎないかもしれません。でも、人生は妄想と考えたら、どうでしょう。妄想している間に、いつの間にかリアルになっていく。そんなものじゃないでしょうか。

 村上さんはサプライヤーではなくクリエイターをめざしてください。受粉家であってください。(芦谷)


ヨソから来た人間の視点が必要。(芦谷)

 冒頭に村上さんはアウトサイダーだと言いましたが、アウトサイダーとはヨソ者ということです。ヨソから来た人間の方が業界を客観視できます。外からの視点を持ち続けることで、買ってもらう理由や価値が見えると思います。わたしもEC事業をはじめたおかげで、売ることの大変さを知ることができました。それまで、クレーム処理などしたこともなかったわけですからね。売る側の気持ちが見えたことでデザインやモノづくりに役立っています。内側のひとが気づかない面白さが、外側のひとからは見えるんですね。

 というわけで最後に言いたいのは、「アウトサイダー村上は、この先はもっと外へ、世界へ出ていけ」ということですね。(芦谷)

株式会社DRIVE、芦谷正人氏

 本日は、ありがとうございました。出会いのころの熱い毎日から、最後はわたしの未来への指針までお話しいただきました。これからも、よろしくお願いします。
 芦谷さんの言葉に勇気を得て、ミラノサローネへの出展を妄想したいと思います!(笑)(村上)

村上紙器工業所、村上誠
株式会社DRIVE、芦谷正人氏

インタビュー&ライティング(田中有史:田中有史オフィス)
撮影&デザイン(浪本浩一:ランデザイン)

株式会社DRIVE

住所〒541-0052
大阪府大阪市中央区安土町1-7-13 トヤマビル本館4F
TEL06-6210-5670
URLhttps://drive-inc.jp/
代表者芦谷正人
事業概要CI、VI、ブランドイメージコンサルティング、ショップイメージコンサルティング、マーケティング、グラフィックデザイン、WEBデザイン、映像制作、ECサイト構築、アプリ制作

公開日:2021年12月27日(月)

※掲載内容は取材時の情報に基づいています。

「クリエイターズネットワーク」シリーズ

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