高級和包丁を世界へ。パッケージが持つ意味
公開日:2021年11月04日(木)
大阪府堺市の伝統産業、高級和包丁を世界へ。
和包丁が世界的に注目を集めています。
欧米などの西洋料理で使われるのは、本来「洋包丁」。元々、肉を切るためです。
対して和包丁は、和食に代表される魚など繊細な切り方を求められるために発達してきました。
それが比較的最近になって、フランス料理に代表される洋食のシェフたちが日本の和包丁の良さに気づいてきたのでしょうか? 大きく普及しているわけではありませんが、欧米のプロシェフをはじめ料理好きの一般家庭のお客様(今の中心は主に男性)にも人気になっています。
このクライアント(神奈川県)は「日本の素晴らしい和包丁を世界へ届けたい」という思いで、新ブランドを立ち上げました。
自分で購入するのはもちろんギフト、贈答用としても選んでいただけるようにと商品ブランドに似合うパッケージを探されていました。
弊社は商品のパッケージ・貼り箱を、完全なオーダーメイド(受注生産)で企画・製造しています。
まずはお客様から、商品やブランドについて話をお聞きします。その上で、そのブランドに合った貼り箱はどういうパッケージデザインがいいのか検討、ご提案をさせていただきます。
和のテイストを感じてもらうため、貼り箱のフタは黒い越前和紙を貼りました。
和紙というと、一般的には「友禅紙」のような以下にも日本的な和柄イメージを思い起こしますが、実は和紙といってもかなりたくさんの種類があります。
その中でもこの越前和紙は黒くて、紙の中に紙の繊維をすき込んである和紙です。
遠目にみるとあまり目立った印象はありませんが、繊維がしっかりとすき込んであるため近くでみるとその存在感がよくわかります。
また使えば使うほど中の繊維がはみ出して来て、フタ表面が独特の風合いになるのがこの和紙の特性です。
貼り箱の中ゲス(内装)は、包丁の柄を固定させやすい高級ウレタンを使いました。
これは、柄のカタチに木型をつくってウレタンを型抜きして作ります。ただ和包丁で難しいのは、図面がないことです。この業界、職人さんの手作りのため大抵は「図面」が存在しません。図面があれば簡単なのですがこれがない場合、これまた木型屋さんでプロによって手作業にて「柄」部分を、絵に写し取りそれをCADデータに読み込ませます。すごいアナログ作業なのです。
そうやってできたウレタンの型抜きで、中ゲスがつくられます。
仕上がりは、ご覧の通り。
包丁は中ゲスできちんと固定され、フタは越前和紙、ミ(下箱)と内面は朱色の紙(和紙っぽいですが洋紙)によって、貼り箱としてデザインしました。
海外や国内で包丁のギフト商品として販売されており、好評をいただいています。
「Made in 堺, JAPAN」和包丁の名にふさわしい、パッケージ、貼り箱としてデザインと製作をさせていただきました。
パッケージの持つ意味は、商品をしっかりと保護し収めるとともに、ブランドの持つ佇まいを感じられるか。そしてブランドとお客様の接点(コンタクトポイント)として、しっかりと役割(コミュニケーション)を果たすということです。
パッケージは、単なる商品の入れ物ではありません。
パッケージの持つ意味を考えなから、つくってください…。
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撮影:EOS R6 +RF24-105mm F4 L
Photo by Makoto Murakami
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