SDGs環境に配慮した高級美容液の化粧箱/パッケージデザイン
公開日:2023年09月06日(水)
SDGs視点でパッケージ企画開発
FSC®森林認証紙や天然素材接着剤を使う
環境にやさしいパッケージのブランドコミュニケーションとは
高級化粧品のパッケージデザインをされていた、コミュニケーションプラン及びクリエイティブ全般を手掛ける会社様からのご依頼で作ったパッケージ/貼り箱(スリーブ付)です。
新ブランドの高級なイメージとそのブランディングを意識したクオリティの高いパッケージ/貼り箱をご希望でした。
環境に配慮したSDGsなパッケージデザイン
サステナブル素材を使うパッケージ/貼り箱
それが前提ではありましたが、クライアントが環境に対しての意識を高く持っておられて、パッケージについてもSDGs(持続可能な開発目標)視点で再生紙を使うなど、環境への配慮を強く望んでおられました。
環境にやさしいという意味では、貼り箱は全面的に環境にやさしいサステナブル素材を使っています。
貼り箱の芯材になるボール紙(板紙、厚みは1〜2mm)はチップボールで、表面のみ白色(パルプ)であり中層は新聞や段ボールなどの古紙からつくられる再生紙(古紙配合率は、100%近くになります)。
表面に貼る紙は印刷用紙ではなく、ファンシー/ファインペーパーと呼ばれる装飾性のある特殊紙です。表面に印刷したのではなく、紙を漉く段階で原材料から色に染めたもので、色は比較的安定しています。
これは商業印刷に使う印刷用紙(コート紙、アート紙)のようにパルプ100%ではなく、古紙を配合したものが多いです。
銘柄によって違いますが、古紙配合率は10%くらいから多いと50%以上。
ただし近年は古紙の原料調達が難しいようで、古紙配合率は低下傾向にあるようです。
(全体的にFSC®森林認証紙が多く、近年はケナフやパガスなどの非木材パルプを配合したものも増えています。)
天然素材からつくられた接着剤「ニカワ」
あと特徴的なのは、貼り箱に使う「接着剤」です。
貼り箱はボール紙で一旦「箱」を作り、その上に素材(主に紙)を糊で貼ります。
一般的に糊(接着剤)というと、工業製品ではボンドやセメダインなどの化学糊(石油から化学的につくる)を使います。
それに対して貼り箱は、ニカワ(膠)を使って素材を貼ります。
ニカワとは、主に牛や豚などの皮や骨にあるゼラチン成分(コラーゲン)を主原料に作られる接着剤で、天然由来の接着剤です。
以前大手化学メーカーの貼り箱を作ったとき、材料の説明を求められました。
再生紙などから作られるボール紙やファインペーパーは元より、ニカワの話をすると「接着剤まで天然由来のものとは!!」と絶賛されました。
このくらい貼り箱は、接着剤も含めて環境にやさしいパッケージなのです。
今注目のFSC®森林認証紙を貼る
ちなみに今回の貼り箱に使った「五感紙」はFSC®森林認証紙(森林を適切に管理し、環境や社会に配慮して作られた紙)であり、非木材パルプ10%以上を含んでいます。
貼り箱のカバーにあたる筒状の「スリーブ」の紙には、「ディープマット」を使用。これもFSC®森林認証紙であり、古紙パルプ40%以上/バガスパルプ10%以上からつくられています。
また箱の中にあるゲス(商品をはめ込んで固定するための内装)は、商品の保護と見た目の高級感や上質感から高級ウレタン(超低イオウで匂いは殆どない)を使用。
この部分は箱から取り外せる設計にしてあるので、不要になったらウレタンのみを処分して箱はそのまま使うことも可能です。RoHS指令、REACH規則に適合するため、処分しても有害物質は出しません。
ブランドイメージとサステナブルの両立
パッケージデザインがブランド資産を創る
接着剤を含めてこれらの素材を使うことで、新ブランドの高級なブランドイメージをパッケージデザインしつつ、サステナブルで地球環境にやさしい化粧箱/パッケージになっています。
素敵なパッケージにすることで簡単には捨てられにくく、かつブランドイメージを表現するパッケージデザインで、環境にやさしいエシカルパッケージとも言えますね。
これらは単純にパッケージのコストではなく、環境負荷に配慮したブランドへの投資とお考えください。このことが、長い目で見たブランド資産(ブランドエクイティ)となっていくのです。
またこの商品を受け取ったお客様が、パッケージを開封するときのドキドキやワクワク感によって、ブランドイメージを感じていただけます。英語で言う「Unboxing」(開封の儀)です。
パッケージが、大切なブランドコミュニケーションを担う
ブランドとお客様を結ぶ大切な顧客接点(コンタクトポイント/タッチポイント)として、ブランドコミュニケーションの役割を担うのも、パッケージの大きな役割です。
まさにこのパッケージ/化粧箱が、目に見えないブランド価値をお届けするのです。
関連記事:パッケージデザインは、ファンをつくるためのブランディング投資
<お問い合わせ>は、こちらのページへ。
<目的から作例を探す>は、こちらのページへ。
<作例を写真で探す>は、こちらのページへ。
<お客様インタビュー>は、こちらのページへ。
撮影:EOS R6 +RF24-105mm F4 L
Photo by Makoto Murakami(村上紙器工業所)
貼り箱についてのご相談は、こちら から気軽にお問い合わせください。
(まずは、ちょっと電話で聞いてみたい時は06-6653-1225 担当:村上 誠 まで)※写真をクリックで拡大、矢印キー(◀▶)で写真がスライドします。
当サイトに掲載されている写真の著作権は、村上紙器工業所および作品の作者にあります。
許可なく写真の転載をすることはできません。
写真の掲載を希望される方は、事前にご連絡下さい。